・バンド名「いその家」
・2004年6月結成、2006年1月解散。新宿と池袋で活動してました。
・ネオクラシカルファッキンプッシー飲尿療法バンド。
・技術・センス・人間性・IQなどが全て極めて低いレベルで融合。
・要するにどうしようもない。



いその家メンバーの出会い
  written by 野手


「太田」

あれはいつだったか。細いゴボウみたいな野郎が歩道橋の手すりの部分に乗っかってフラフラとよろけながら歩いていた。俺はあぶねえと思ったんだけどそれ以前にこの野郎が危ない奴だったら嫌だなと思い声をかけるのを止めた。大体においてこの歩道橋は殆んどの人が使っていない。下の道路に横断歩道があって下を通れば事足りるからだった。

「しあわっせは歩いてこないだーから歩いていくんだよ。」

歩道橋の下の横断歩道を歩いていたらそんな歌が聞こえてさっきのゴボウが空から降ってきた。どうやら365歩のマーチを歌いながら歩道橋から転落したらしい。俺は面食らって

「大丈夫か?」と聞いた。するとそいつは
「幸せは死と隣り合わせという意味なのさ。」と訳のわからんことを呟いたので、たまたま持ち合わせていたR-25というフリーペーパーでゴボウの頭をひっぱたいた。

これが大体いその家のベーシスト太田との出会いである。この後ツチノコを探しにモザンビークへ旅立ったりするんだけれどその話は面倒くさいので割愛する。

「大森」

だるい。だるい。と思っていたら俺よりもだるそうな奴が灰色の床の上に横たわっていた。生死すら定かではなかったからとりあえず蹴ってみた。するとそいつは

「痛い。だるい。」と言った。
「どっちだ?」と俺が尋ねると。
「痛い。」と言った。

よくよく聞いてみると生まれて物心がついたころから頭の中に大きなもやがかかっていて一度も晴れたことがないのだそうだ。

「そいつは難儀だからハーゲンダッツのアイスクリームでも食え。」と言った。これがいその家のリードギタリスト大森との出会いだ。

こいつは出身が俺と同じ町田市なので駅前に住んでいたアナグマが実はただの俺の幻想であったと言うことを指摘してくれた。

「井上」

喫茶店と言う場所に入ることは滅多にないのだがその日はなんとなく(これが虫の知らせというやつかもしれない)入ってみた。池袋メトロポリタン口のドトールだった。

「カフェラテミルク抜きで。」と注文して受け取って席に着くとおかしな奴がいることに気づく。ソーダの入ったコップを見ながらものすごい勢いで何かを手帳に書いている男がいた。

俺はこういう輩とは関わり合いになりたくはないので携帯電話でメールをしている振りをしていた。すると

「ソーダの粒はどこから来てどこへ行くのだと思う?」とそいつが俺に向かって聞いてきたので
「知らん。でもきっとヒマラヤから来てサンパウロへ行くんだと思う。」というと
「ふうん。」とそいつは言った。これがいその家のリズムギタリスト井上との出会いだ。

因みに奴はソーダの粒を数えるのが好きだ。そいつらの家族構成を考えたりもしてるみたいだ。

「早乙女」

ワールドエンドとワールドワイドのどちらがいいか。なんて考えていたら道端で

「水をくれ」と叫んでいる奴に出くわした。
面倒くさい気もしたがたまたまミネラルウォーターが余っていたのでくれてやった。そうしたら今度は
「食い物をくれ。」と叫びだしたので矢張り面倒と思ったが乗りかかった船だしなあと思い食いさしのクロワッサンをくれてやった。そうしたら今度は
「金をくれ。」と叫びやがったのでこちらも堪忍袋の尾が切れて持っていたライターで燃やしてやった。

すると想像以上によく燃えて灰になってしまった。これは少しやりすぎたなあと思い反省してその灰を集めてブードゥー教の怪しげな呪文を唱えながらうどんと一緒に煮込んでいたら中から人間が生まれた。

これがいその家ドラマー早乙女であったわけなのだが途中で俺が呪文を怠けて佐渡おけさを踊っていたので体の半分が変な色になってしまっていた。これは秘密である。

そんな5人からなるいその家というバンドが明日池袋アダムというライブハウスで解散ライブをしますので皆さん見に来てください。ワールドエンドも悪くないと思った。